“日頃の疲れをとるためのセルフケアとして、非日常的な時間を過ごせる旅行は最適です。とくに旅館に泊まり、ゆっくりと温泉でくつろぐことができれば身も心も癒やされます。そこで温泉地の旅館に予約を入れるとき、守らなければいけないエチケットがあります。
そこで、どのような点に注意をしたら良いのかを見ていきましょう。まず旅館を訪れるとき、費用を抑えるために食事やお酒などの持ち込みをすることはマナー違反なのでやってはいけません。なぜ、宿泊費を支払っているのに飲食物の持ち込みをしてはいけないのかというと、宿泊ができる場所であると同時にレストランや食堂と同じ飲食店でもあるからです。日常でも飲食店に入るときに、他のお店で買ってきた飲食物は持ち込むことはタブーとされています。旅館で食事や飲酒をしたいのであれば、旅館が用意したものを提示された価格を支払って手に入れなければいけません。ただ、最近では持ち込みをしても良いという旅館も増えていますから、最初からそれがわかっているときには問題はありません。
そして部屋に通されるとき、荷物をどこに置くのか迷うかもしれませんが、床の間や飾り棚は宿泊客をもてなすために掛け軸や焼き物を置く場所です。スペースがあるからと言って、そんなところに置くのはマナー違反です。ではそれ以外の場所に置くことになりますが、出入り口の分は宿泊客だけでなく布団を敷くために入ってくる従業員の邪魔になります。できれば部屋で過ごすときにじゃまにならないように、隅においておくと良いでしょう。
荷物を部屋に置き、食事前あるいは寝る前などに温泉に入るときのエチケットとして、大事なのはかけ湯をすることです。一般的にかけ湯は汗や汚れために行うと知られていますが、それだけではなく体を温める効果もあります。服を脱ぎいきなりお湯に浸かると、急激な温度変化で血圧が上昇して脳出血などが起きる危険性があります。かけ湯でゆっくりと温めておくことで、血圧の変化はある程度の範囲におさまります。
タオルを湯船に入れてはいけないというのも、基本的なエチケットのひとつです。お湯に浸かる前に体をタオルで洗ったとすれば、そこには石鹸や剥がれ落ちた垢がこびりついています。それを湯船につければ、流れ出て温泉全体に広がります。もし、伝染病の患者であったときには、その行為によって皮膚についた病原菌が湯に混ざり同じ温泉に入った人に感染する恐れがあります。体を隠したい気持ちはあるでしょうが、タオルは湯船の外に出さなければいけません。”